末期がんの夫を看取る
年齢 | 80代 |
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性別 | 男性 |
介護度 | 要介護3 |
傷病名 | 末期がん 認知症 |
利用の背景
定期受診でがんが発見したことで、依頼がありました。
奥様は「家で看取りたい」と強く希望されており、全身状態の管理と医療機関との連携強化、そして奥様が抱える不安や悩みの相談役として、我々あおぞら訪問看護ステーションが介入することとなりました。
また奥様は、以前ご自身のお母様の介護で当ステーションを利用してくださっていたこともあり、サービス担当者会議の時から終始和やかな雰囲気で話が進みました。お母さまのこともあり「安心してお任せできます」と仰っていただいてました。
サービス提供
利用当初は週1回のご利用で、全身の状態観察を行っておりました。ご本人はとにかく甘いもの好きで黒飴をよく食べておられました。主治医からは1日2個までと注意されていましたが、当のご本人はお構いなし。奥様も本人の希望を取るか、医師からの注意をとるか非常に苦慮されていました。
また奥様は夜間も、「呼吸が荒い」「熱がある」など、ご本人の体調に気を配られたり、入浴の介助もされていたりと非常に献身的な介護をされていました。いくら、自身のお母様で一度経験しているとはいえ、やはり介護はしんどいもの。ましてや末期がんともなれば、苦痛の訴えや症状の発現、食事も徐々に食べられなくなる等、奥様の不安ははかり知れませんでした。
訪問時にはこまめな声掛け、相談ごとにも真摯に対応する、病状を丁寧にわかりやすく説明するなど。私たちにできる事は非常に少ないですが、それでも在宅看取り、介護をされている方に“看護師”としてどのように寄り添うべきか。日々ステーション内で話し合いを行っていました。
看取り
病気の進行とともに、訪問回数が週1回から週3回に増えていきました。ご本人も身体のしんどさからほとんど動くことが出来ず、薬は点滴に切り替わりました。その約2週間後、ご家族に見守られながら息を引き取られました。
訪問時にはお身体を整えるのですが、日ごろから奥様の希望で清拭を行い奥様自身もされていたことで非常にきれいなお身体でした。
奥様が「家で看取る」と決意されてから約3ヶ月。病院や施設であれば無かったご苦労も多くあったかと思います。しかし、奥様は強い意志でこの在宅看取りに向き合ってこられました。だからこそ、奥様の表情が少し晴れやかに感じたのかもしれません。
看取りにおいて、施設看取り・在宅看取り、どちらが正しいというものはないと私たちは思います。看取りに携わるものとしては、どちらにせよご本人、ご家族に後悔が残らないよう全力でサポートしなければならないと強く感じました。